月見野悲恋   〜後編〜   (Ver.4+)  登場人物 ・誠一 フィージェ ・美和 ReZEL ・地主 n人 ・田村 水代 ・役人 カミュ ・藤堂 ルキ ・語り 待宵 ・ナレーター カミュ ・マコト フィージェ ・耕太 ルキ ・先生 水代 ◆◆◆◆◆ 注意事項 ◆◆◆◆◆◆ 「美和」の(泣き/エモ)(笑い/エモ)については、 演出上指定の箇所以外では使用できません。 _____________________________________ シーン1         ↓「団長」(狐面?装備)登場。 団長 【前編のおさらい】 それは、大戦の最中・・・ 地方の村に暮らす若い二人の、悲しい恋の物語。 ・・・地主の娘である「美和」と天涯孤独の青年「誠一」。 身分違いと知りながらも二人は恋に落ちるが、 誠一はその身分の違いゆえに、 美和を幸せにできないのではないかと思い悩んでいた・・・ それでもお互いを想い合う二人。 やがて、ある月の夜に美和の心の寂しさを知った誠一は、 自分の気持ちを美和に打ち明け、結婚の約束を交わす。 しかし、 決意を胸に父親である地主にあいさつに行く美和と誠一を待っていたのは、 誠一の出征という残酷な事実だった。 「必ず帰ってきて美和と結婚する」と誓って戦地に赴く誠一・・・ そして、 季節は巡り、秋も半ば・・・ それでは、「月見野悲恋〜後編〜」 お楽しみください。       ◆「団長」の挨拶後、舞台右より退場 ◆「語り」時間を空けてから舞台左より登場 語り またお会いしましたね・・・ 今宵は、先日の続きをお話しましょう え〜っと・・・ 日記はどこまで読んだかしら・・・ ・・・ ・・・・・ エモ /! この辺からで良いでしょう      (エモ/うんうん)→ ____________________________________________ シーン2 語り 【 10月3日(晴れ) 村外れの野原 】 ■■■合図 美和登場 ◆美和 舞台右(上手)より登場 美和 ねぇ、誠一さん 秋になりましたよ ここは、いつ来ても変わりません・・・ ただ・・・ 隣りに誠一さんがいないだけ・・・ 少し寂しいかなっ・・・ ・・・でも、誠一さんも頑張ってるんだもの 私がこんなじゃいけないよね エモ /うんうん ・・・ ・・・そうだ! 誠一さんに手紙を書こう 寂しがってばかりいてもいけないしっ 届くと良いな〜 ◆美和、舞台右(上手)へ退場 ⇒ 舞台右(上手)で待機 語り 【 12月18日(雪) 地主の家(美和の部屋) 】 ◆語り 発言後、「古いほうき」を落とす ◆美和 舞台右(上手)より登場 美和 うん、お部屋の掃除はこんなとこかな あとは、玄関と廊下ね ◆美和 発言後、舞台中央左寄りへ移動 美和 ほうきは何処だったかしら・・・ ◆田村 美和移動後、舞台右端(上手)に登場 (田村の登場位置の左側に玄関があるように) 奥 □□□□□□□□□□□ □□□□□□□玄□田□ □□□美□□□関□□□ 手前 □□□□□□□□□□□ 田村 ごめんくだせい〜 ごめんくだせい〜 美和 はい、どうぞ 開いてますよっ 田村 ほいでは失礼・・・ 美和 こんにちはっ エモ /!  あらっ、田村さんでしたか 田村 お、美和ちゃん大掃除かい? ◆田村 話しながら、舞台中央に寄り美和の傍へ 美和 はい、やっぱり新年を迎える前には、家の中をキレイにしておきたいのでっ 田村 ▼被せエモ  /うんうん そうだよねぇ ところで、地主さまは居るかい? 美和 父は、役場などの挨拶周りに出てますが、 どのような御用件でしょうか? 田村 おやおやぁそうかい、わたすもその挨拶に来たのですよ でもまあ、仕方がない 地主様に来年もよろすくお願いすますと、お伝えください 美和 はい、わかりました せっかく来ていただいたのにすみません 田村 そういえば もう聞いたがい美和ちゃん そろそろ戦争が終わるそうだよ 何でも、進攻をやめるそうな 美和 え、ホントですか? 田村 これで、のんびり生活できるってもんだぁよ 美和 ということは、戦争に行ってる人たちも戻ってきますよね そうですよね? 田村 ▼被せエモ /うんうん んだなぁ、この辺りの村々にも活気が戻るってもんだぁ そいでは、わたすはこれで 美和ちゃん、掃除がんばってぇなぁ 美和 はい、来年もよろしく御願い致します 田村 はいよぉ〜、んじゃの〜美和ちゃん         ◆田村 発言後、舞台右(上手)より退場 美和 ・・・ 誠一さん、早く帰ってこないかなぁ・・・ さ、お掃除、お掃除〜 そうそう、ほうきは何処かしら ◆美和 その場に「古いほうき」が落ちてなければ、  語りが(エモ /あせあせ )を出し、新たに「古いほうき」を落とす 美和 あ、ありました! ◆美和 「古いほうき」を拾い(エモ /うれしい )を出す ◆美和 舞台右(上手)より退場 ____________________________________________ シーン3 語り 【 1月25日  戦場(駐屯地) 】 ■■■合図 誠一・藤堂登場 ◆誠一・藤堂 舞台左(下手)より登場 誠一 ふぅ・・・やっと撤退か・・・ 藤堂 長かったな〜 さすがに上の連中もこれ以上無理な侵攻をしても、 利益が無いことに気づいたんだろ 誠一 そうだな もはや、ただの侵略戦争になりかねないし このままでは、我々は多くの国を敵にまわすことになる 藤堂 ああ、そうなったらお終いだからな とにかく、里に帰れるのはなによりだよ ◆誠一 2歩、舞台前方に歩く 誠一 ・・・美和、もうすぐ帰るよ・・・ 藤堂 ん?なにをブツブツ言ってるんだ 誠一 あ、いや、なんでもないさ 藤堂 そうか、これで美和さんに会えるからか! お前、いつも言ってたからな〜 美和ぁ〜〜あいたいよぉ〜〜 ってな 誠一 うるさいっ いいじゃないか! 藤堂 ▼被せエモ /笑い  まあ、結婚式には俺にもお祝いさせてくれよな 誠一 ああ、招待するよ お前には、すごく世話になったし 藤堂 お互い様だろ〜 エモ /笑い 誠一 エモ /笑い 藤堂 じゃあ、撤退の準備があるし 俺は持ち場に戻るよ 誠一 ああ、またな         ◆藤堂 舞台右(上手)より退場 ◆誠一 舞台左側(下手側)に移動し振り返り(エモ /! )を出す 誠一 ん、戦闘機の音? ◆裏方 スキル「ファイヤーウォール」で空爆を演出する  このとき、客席から落としていき、誠一には当たらないようにする 誠一 クッ、なんで今になってっ! ◆誠一 舞台右(上手)より退場 ◆裏方 舞台上にも「ファイヤーウォール」を落としていく ____________________________________________ シーン4 語り 【 4月1日(晴れ) 地主の家(玄関前) 】 ◆美和 舞台左(下手)より登場 美和 ら〜らら〜♪ んー、今日も良い天気ね 誠一さん、早く帰ってこないかな〜 ◆藤堂 舞台右(上手)より登場 藤堂はキビキビとした動作を意識して 演技中、美和と藤堂の間は常に2マスほど空ける 藤堂 すみませんが、 地主さまの屋敷はこちらですか? 美和 あ、はい ここですが、どちら様でしょうか? 藤堂 自分は、陸軍第6小隊の藤堂といいます! いきなりで失礼かもしれませんが、 こちらに美和さんがいらっしゃると、伺ってきたのですが・・・ 美和 美和は私ですけど・・・ 藤堂 ▼被せエモ /! これは失礼! 美和 あの・・・ 私に、何か御用でしょうか? 藤堂 誠一はご存知ですよね 自分、誠一には戦地でよく世話になってました・・・ 美和 まあっ、誠一さんのお友達の方ですね あの、誠一さんはお元気ですか? 藤堂 ・・・ 実は、美和さんに渡すものがあって 今日は参上しました・・・ 美和 エモ /? 藤堂 美和さん・・・ 気をしっかり持ってください・・・ よろしいですか? 美和 エモ /? どういう事でしょう? 藤堂 申し訳ありませんが、 自分の首から提げてあるものを取ってもらえますか 自分、両腕とも肘から下が無いもので・・・ 美和 ▼被せエモ  /!  あの・・・ 戦争で・・・? 藤堂 はい、ですが気にしないでください! 名誉の傷ですのでっ! 美和 ・・・ 大変だったのですね・・・ 藤堂 いえ・・・ 美和 では、失礼します・・・ ◆美和 藤堂の前に立ち、すぐに離れる          美和は藤堂に近づく際、一歩、一歩と恐る恐る近づくように 美和 何かしら? 箱・・・でしょうか・・・ 藤堂 美和さん 包んである布を解いてください・・・ 美和 はい・・・えっと、木の箱ですね ▼被せエモ /!  ・・・どうして ・・・誠一さんの名前が記してあるのですか? 藤堂 ・・・ 美和 藤堂さん! 何ですかこれは? 藤堂 ▼被せエモ /… 美和さん・・・ 美和 だってほらっ、中は空っぽじゃないですかっ!       藤堂 ・・・美和さん それは、誠一の亡骸が回収できなかったからです・・・ 美和 そ、そんなことっ エモ /汗かき 藤堂 正確には・・・ 吹き飛んで残らなかった・・・ 自分も、その時腕を失いました・・・ 美和 ・・・ うそ・・・ 藤堂さん、うそ言ってます・・・ そんな訳ないですもの! 誠一さんと約束したんです!! エモ /えーん          ◆地主 舞台左(下手)より登場 地主 どうしたんじゃ? 騒がしいのぅ〜 ▼被せエモ /! 軍人のようだが、どちら様かな 藤堂 自分、陸軍第6小隊の藤堂と申します! 地主 その、藤堂君が家に何のようじゃな? っと・・・この骨箱は・・・ なるほど、これを届けに来たのじゃな 藤堂 はい、誠一にとって、 こちらの美和さん以外にあてが無いもので・・・ 美和 ・・・ エモ /えーん 地主 名誉の戦死ということで相違ないですな? 美和 ・・・・ 藤堂 ・・・はい! 誠一は立派でした!! 美和 ・・・・・ 地主 藤堂君も、わざわざご苦労さまじゃの 美和 ・・・ 誠一さん・・・ 誠一さんっ・・・私はここですよ・・・ エモ /e5 約束しましたものっ・・・ ねぇ、誠一さん・・・どこですか? ◆美和 発言しながら前方にフラフラ歩く ゆっくり一歩ずつ、誠一を探すような気持ちで 藤堂 ▼被せエモ /! ・・・美和さん? 地主 美和っ! どこに行くんじゃ? 美和 誠一さん・・・ 私はここにいますよ・・・ 地主 おい、美和っ! 美和 ▼被せエモ /あはは そうだっ あの場所で・・すね・・・ブツブツ・・・ エモ /笑い ◆美和 発言後、舞台右(上手)より退場  一歩ずつ、約束の野原に吸い寄せられるように 藤堂 無理もありません 美和さんにとっては、 とても受け入れがたい事です・・・ 地主 そうじゃの・・・でも、 美和も時間が経てば落ち着いてくれるはずじゃ 藤堂 ▼被せエモ /うんうん そうですね・・・ それでは、自分はこれで! ◆藤堂 舞台右(上手)に移動  亡き戦友を偲ぶように、自分の伝えた事実の重さに気づいたように  ふと、立ち止まる 藤堂 ・・・ 誠一・・・ エモ /えーん ◆藤堂 舞台右(上手)へ退場 地主 美和・・・許しておくれ・・・ 美和にとって、これで良かったんじゃ・・・ ◆地主 舞台左(下手)より退場  地主は、自身の行動を正当化するように、言い聞かせるように ____________________________________________ シーン5 語り 【 4月2日(晴れ) 村外れの野原(明け方) 】 ◆美和 舞台右(上手)よりフラフラと登場  ゆっくりと、明け方の月も太陽も無い薄暗さに彷徨うかのように    美和 ねぇ、誠一さん・・・ 朝になっちゃいました・・・ ・・・戦争、終わったんですよね ▼被せエモ /… でしたら、早く帰ってきてくださいな・・・ ねぇ・・・ ね・・ぇ・・・ エモ /えーん グスッ・・・ふぇ・・ん ひっ・・く・・・ 誠一・・さん・・・・・・ 語り (舞台溶暗) ◆美和 舞台でそのまま奥を向き待機 語り 【 8月2日(晴れ) 村外れの野原(夜) 】 語り (舞台溶明) ◆美和 ときに、舞台中央奥の月に懇願するように、 ときに、そこにいるはずの無い誠一に語りかけるように 美和 ねぇ、誠一さん・・・ 夏でも、夜は少し冷えますね・・・ ▼被せエモ /e5 お父様は、誠一さんのこと、 戦死したのだから諦めなさいって言うんですよ・・・ いくらお父様でも失礼ですよねっ(エモ/うんうん) 誠一さん・・・ 私と約束しましたもの・・・ ちょっとだけ、帰りが遅くなってるだけですよね・・・ いつ帰ってきても良いように、 私、毎日ここに来てるんですよ・・・ ▼被せエモ /e5 今夜も、お月さまキレイ・・・ ▼被せエモ /あはは お月さまは、誠一さんがどこにいるか知っていますか? もし、知っているのでしたら、 寄り道しないで帰ってきてくださいなっ・・・ って伝えてほしいです・・・ 誠一さん、早く帰ってこないと秋の名月に間に合いませんよ・・・ 今年は一緒にお月見しましょう ねっ・・・誠一さん・・・ ◆美和 舞台右(上手)より退場 動きは一歩ずつ、一気に退場しないように気をつける ____________________________________________ シーン6 語り 【 9月15日(晴れ) 地主の家(居間) 】 ■■■合図 美和 登場 ◆美和 舞台右(上手)より登場し、中央に移動 前編の食事のシーン同様のちゃぶ台の位置を意識して演技 しかし、その動作は弱々しく 美和 ふぅ・・・ お夕食の用意もしたし、そろそろ行こうかな・・・   ◆美和」発言後、舞台右端に移動          同時に、「地主」舞台左より中央に登場 地主 美和、どこに行くんじゃ 美和 あ、お父様 お夕食、出来上がっていますので召し上がって下さい 地主 それはわかっている・・・ じゃが、美和 お前の分が無いじゃないかっ 美和 ▼被せエモ /e5 私はいいんですよ ですからお父様、冷めないうちに食べてくださいなっ 地主 ▼被せエモ /汗かき 美和!何を言っているんじゃ そんなにやつれてしまって・・・ お願いじゃから、ちゃんと食べてくれ! 美和 私、行かないといけませんから・・・ 誠一さんが待ってるかもしれません・・・ エモ /うれしい 地主 美和! あの男は、もう帰ってこないんじゃ! いい加減分かっておくれ・・・ ◆美和 地主のセリフ途中で舞台右(上手)より退場 地主 おい!美和! 美和!みわぁ・・・ どうして・・・分かってくれないんじゃ・・・ ◆地主 追いすがるような動作 語り (舞台溶暗) ◆地主 舞台左(下手)より退場 語り 【 同日夜 村外れの野原(満月) 】 語り (舞台溶明) ■■■合図 美和 登場 ◆美和 舞台右(上手)より登場 ゆっくりと野原を歩く美和、ふと見上げた月に、 思い出したように歌いだす 美和 ねぇ、誠一さん・・・ 今日はお月見ですよ・・・ ・・・ う〜〜さ〜ぎ〜う〜さ〜ぎ〜♪ な〜に〜み〜て〜は〜ね〜る〜♪ コホンっ・・・ じゅう〜ご〜や〜お〜つきさ〜ま〜み〜て♪ は〜〜ね〜る〜♪ コホッ・コホッ・・・ ふぅ・・・ 私も、この歌の兎と同じになっちゃいました・・・ でも、お月さま・・・ 誠一さんは何も悪いことしてないんですよ どうして、帰して、コホッ・・くれないのですか? ・・・ 早く、会いたいです・・・誠一さん・・・ コホッ・・ゴホッ・・・ン・・ ふぅ・・・風邪ひいちゃったかな・・・ ◆美和 ふらふらと歩き、座り込む 美和 あれ、おかしいな 足にちからが入らない・・・ ゴホッ・・・ン・・ゴホン・・ゴホ・・・ ◆美和 立ち上がり2、3歩歩き  またすぐに、座り込む 美和 はぁ・・・はぁ・・ ◆地主 舞台右(上手)より登場 地主 美和! やっぱりここじゃったか! ▼被せエモ /! 美和? どうしたんじゃ! ◆地主 美和の傍まで寄って座る 地主 ▼被せエモ /汗かき スゴイ熱じゃ! なんで、こんなになるまで! 美和 あ、おと‥う様・・・? どうして・・・ここに? 地主 いいから、黙ってなさい! さあ、帰るぞ 美和 コホンッ・・・ゴホッ・・ン・・・ 地主 肩につかまりなさい ・・・無理しおって エモ /えーん ◆地主・美和 寄り添いながら舞台右(上手)より退場 ◆美和 語りの暗転後、舞台に登場するため舞台右待機 語り (舞台暗転) ◆美和 舞台中央に登場し客席に背を向け座る          そして、しばらくその場で待機(しっかりと時間を取る) ___________________________________________ シーン7 語り 【 12月7日(雪)美和の部屋 】 語り (舞台溶明) 美和 ゴホッ・・・ゴホッ 誠一さん・・・ 誠一さんが待って・・るかもゴホッ・・ン・・・ 寝て・・・る場合じゃ・・・ 行かない・・・と・・ ◆美和 立ち上がり、ふらふらと数歩歩いては座り込む          それを2度繰り返し、舞台右より退場          これまでの動きよりも、さらにゆっくり 語り 【 同日夜 村外れの野原 】 ■■■合図 美和登場 ◆美和 舞台右(上手)よりふらふらと、時折座りながら 舞台中央2列目に登場 奥 □□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□ □□□□□■□□□□□ 手前 □□□□□□□□□□□ 美和 はぁ・・・はゴホッ・・ゴホッ・・はぁ・・・はぁ・・・ やっ・・と・・・着きま‥した・・・ゴホッ・・・ ◆美和 その場に座り込む 美和 今日は・・・お月さ・ま・・・ お空、曇って・・・ゴホッ・・・ 見えま・・・ゴホッ・・ンせんね・・・ でも・・・粉雪・・キラキラして・・それもキレイ・・・ はぁ・・・はぁ・・・ ねぇ・・・誠一・・さん・・・ ◆美和 立ち上がり、客席に背を向け一歩奥に移動 なんとか月に近寄ろうとするように、最後の力を振り絞るように 美和 ねぇ・・・ 誠一・・・さん・・・ エモ /えーん ・・・ 会いた・・・い・・・で・・す・・・ ・・・・・・ ◆美和 『毒ビン』使い倒れる 美和 ・・・ね・・・・・・・ ぇ・・・・・・ 誠一・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・さ・・・・・・・ エモ /… 語り ・・・ 翌朝・・・ うっすらと積もった雪の下から、 冷たくなった美和が見つかった・・・ ◆地主・田村 語りの途中で舞台右(上手)より登場  美和の傍に寄りエモ /えーん 語り (舞台溶暗) ◆美和・地主・田村  暗転後、「蝶」で戻る ____________________________________________ シーン8 語り (舞台溶明) 語り 【 美和の部屋 】 あら、日記は12月7日で終わり・・・ ふぅ・・・ この日記はもう必要ないわね・・・ エモ /e5 ◆語り 発言後、舞台中央に行き、   『彼女の想い』を落とし、元の位置に戻る ◆地主 舞台右(上手)より登場 地主 ああ・・・美和・・・ 何が、何がいけなかったんじゃ・・・ どうして美和まで・・・ ▼被せエモ /! ん、これは! 美和の日記・・・ ◆地主 『彼女の想い』を拾う 地主 ・・・ 4月29日(晴れ) 今日は、久しぶりに誠一さんと会う日。 どんな服を着ていこうかな。 誠一さんに失礼のないようにおしゃれしないとね。 でも、朝から日記を書いちゃうのはだめだよね・・・私。 地主 ・・・ 5月10日(曇り) 今日、お父様からお母様の話を聞きました。 そのときのお父様、少し寂しそうな顔してました・・・ 早く、お父様を安心させてあげたいな。 地主 ・・・ 5月26日(晴れ) 今日は、誠一さんとお月見をしました。 こっそり家を抜け出したので、 お父様に怒られちゃったけど、 誠一さんに会いたかったの。お父様、ごめんね。 地主 ・・・ 6月19日(晴れ) 今日、誠一さんと約束しました・・・ あ、その前に昨日誠一さんから結婚しようって言われちゃいました。 うれしい。すごくうれしい! これで、お父様を安心させてあげられる。 お父様と誠一さんと私。 ずっと一緒だと思っていたのに・・・ 戦争なんて・・・ どうしてしなくちゃいけないのかな・・・ あ、そうそう、誠一さんと交わした約束。 誠一さんったら、月の指環だって・・・ あんなに、ロマンティックなプレゼント初めて。 誠一さん、早く帰ってきてね。 地主 ・・・ 12月18日(雪) 今日は大掃除。 お父様は挨拶回りなので、家のことは私がしっかりしないと! お父様、来年も美和をよろしくお願いします。 地主 ・・・ 4月1日(晴れ) 今日、誠一さんの戦友の藤堂さんが家にみえました。 ・・・ ・・・・・ 誠一さんのこと、理解はしたつもり・・・ でも、でも・・・ 私は信じたくありません。 地主 ・・・ 9月15日(晴れ) 兎さんも私と同じ気持ちでお月さまを見てたのかな 誠一さん、会いたいです。 お月さま、お願いします。 誠一さんに会わせてください! お願いします。 お願いします・・・ でも、もう誠一さんはいない・・・ 私、わがままですね。 分かってる、分かってるはずなのに。 お父様、ごめんなさい。 地主 ・・・ 12月7日(雪) 誠一さん・・・ ・・・・・・・・・ ◆地主 その場に座り込む 地主 美和ぁ〜! わしはっ・・・わしはっ・・・ すまん! わしが悪かったんじゃぁ〜!! 美和・・・・みわぁ〜・・・・・・ ううぅ・・・うぅ・・・ 許しておくれ・・・・・・ ▼被せエモ /! 美和のためになにか・・・ 何か出来ることは・・・ ◆地主 舞台右(上手)へ退場 語り 【 翌日 村外れの野原 】 ■■■合図 地主と田村 登場 ◆地主・田村 舞台右(上手)より登場 田村 どうすたんです地主様 またここに来るなんて・・・ 地主 ここに、美和の墓をたてる・・・ 田村 ▼被せエモ /! でも地主様 ここはお国の土地だすから、勝手なことは・・・ 地主 だったら、わしが買う・・・ ◆地主 田村の発言を遮るように発言する準備をする 田村 でもお国のことですから、 幾らふっかけられるか・・・ 地主 ええぃ!幾らかかってもかまわん! 金が足りないなら、わしの屋敷を売ればいい! ここには、美和が眠っているんじゃ! ここは、美和の大事な場所なんじゃ・・・ エモ /えーん 田村 地主様・・・ わかりますた! わたすたちも協力します! 地主 すまんな田村・・・ わしは、 地主も、美和の父も失格じゃ・・・ 田村 ・・・ さあ、地主様! 美和ちゃんに最高の墓石を選んであげましょう! さあ! 地主 すまん! すまんなぁ・・・ エモ /えーん ◆地主・田村 舞台右(上手)より退場 語り そして、現在 いつの頃からか 月見野原と呼ばれるようになった野原には 秋になると人々がお月見をするために訪れるのです・・・ おしまい ふぅ・・・私の話はここまで つまらない話ですから、忘れていただいて構いません 所詮は歴史に埋もれていた出来事・・・ でも、お月見の夜には少しだけ 二人のことを思い出してあげてください・・・ ◆語り 頭装備を『うさぎのヘアバンド』に換える 語り ▼被せエモ /くすくす あら、もう時間がありませんね・・・ それでは 私なら、ずっとこの野原にいますので いつでも遊びにいらしてください さようなら人間達・・・ エモ /e5 ◆語り 舞台左(下手)より退場 ◆ナレーター  「クローキング」を使用して、ペット「ルナティック」を連れて  舞台左(下手)より登場  舞台中央付近を1回りして、右側(上手)より退場しペットをしまう。 ◆ナレーター 「クローキング」して再び登場し舞台中央へ。 ____________________________________________ シーン9 ナレ 【 1987年、春  月見野原(遠足日和) 】 ◆ナレーター 隠れたまま退場。 ◆耕太 舞台左(下手)より登場 耕太の演技は、落ち着きのない子供という感じで 耕太 先生ー! マコトが向こうのお墓の前から動かないよー ◆先生 舞台右(上手)より登場 先生は演技中、二人の生徒に気を配るように心がける 先生 どうしたの?耕太君 耕太 向こうにお墓みたいのがあるから、見に行ったんだけどさ〜 マコトがそこで急にボ〜ッとして返事ないんだよ〜 先生 まあっ、どうしたのかしら? 耕太 わかんない、とにかく来てよー エモ /汗かき ◆耕太・先生 舞台左(下手)より退場 ◆マコト ポタで舞台やや左に登場 ポタ役:★★★★★★★★★ ■■■合図 耕太と先生登場 ◆耕太・先生 舞台右(上手)より登場 耕太 マコトー、先生連れてきたぞー マコト ・・・・・・ 先生 マコト君、大丈夫?どこか具合が悪いの? マコト ・・・・・・っ? あれ、先生どうしたの? 先生 どうしたのじゃないわよ。マコト君どこか痛いの? 泣いてるじゃない 耕太 大丈夫か〜、マコト マコト え、ホントだ・・・・・・どうして泣いてるんだろ・・・・・・ 先生 ほら、涙を拭いて いったいどうしたの? マコト わかんないけど、なんでだろう・・・・・・懐かしいんだ 前にも、ここに来たことがあるような気がして・・・・・・ 耕太 しっかりしろー マコト 大丈夫だよ、どこも痛くないしっ 先生 そう?ならいいけど・・・・・・ 調子が悪いと思ったらすぐ先生に言ってちょうだいね マコト エモ /うんうん 先生 じゃあ、もうすぐお昼だから集合しましょうか 耕太 先生ー!バナナはそのまま持ってくるとオヤツになるけど 切って入れ物に入れてくれば、オヤツにならないんだよねー マコト 耕太、何だよそれ〜 耕太 ヘヘンッ、法の抜け穴っていうんだぜ 先生 エモ /笑い ほら二人とも、行きますよ! ◆美和 登場準備 合図 美和ポタ準備! 耕太 はーい マコト うん・・・・・・ ◆耕太と先生 舞台右(上手)へ退場。すぐに戻るため待機 ◆マコト 少し遅れて右へ歩きだす ■■■合図  美和 登場 奥 □□□□□□□□□□□ ■□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□ 手前 □□□□□□□□□□□ 美和 おかえりなさい、誠一さんっ ◆マコト 左を振り返る 美和 エモ /e5 ◆美和 「蝶の羽」で退場 マコト あっ・・・・・・ 今、向こうで、女のひとが笑ってたような・・・・・・ ■■■合図 先生登場 ◆先生 舞台右(上手)から登場 先生 マコト君、どうしたの? マコト ・・・・・・ううん、なんでもないよ、先生 耕太 おっべんと、おっべんと〜、うっれしいな〜♪ マコト ・・・・・・ねえ、先生 あのお墓は、どうして月見野原にたってるのかな? 先生 さあ、先生もそこまではわからないわ そうだ、マコト君が大人になったら学者さんになって この地域について調べてみたらどうかしら マコト そっか・・・そうだよねっ 耕太 なあ、マコトー さっき、あっちのほうでウサギっぽいの見たんだー お弁当食べたら、捕まえよーぜー 先生 耕太君、生き物をいじめたらダメですよ 耕太 は〜い マコト エモ /笑い ◆三人 舞台右(上手)より退場 ◆ナレーター クローキングしながら舞台中央へ ナレ 2015年4月  日  ←(後編公演日) ある郷土歴史学者によって、当時の資料の中に埋もれていた 戦地の恋人に宛てたであろう未開封の手紙が発見される しかし、彼は手紙を誰にも公開することはなく 書斎の引き出しのなかに大切に保管したという・・・・・・ 〜劇団 うたかた月夜 presents〜 月見野悲恋 完