団長修正版 月見野悲恋   〜前編〜   (Ver.4)  登場人物 ・誠一 フィージェ ・美和 ReZEL ・地主 n人 ・田村 水代 ・役人 カミュ ・藤堂 ルキ ・語り 待宵 ・ナレーター カミュ   ・マコト    ルキ ・耕太 フィージェ ・先生 水代 ・団長 ルキ  小道具  ・少女の日記 ・彼女の想い ・宛のない手紙 ・古いほうき ・蝶の羽(暗転中に舞台から消える場合 誠一・美和・地主) ・注意事項  セリフ発言は舞台両端■のマスではしない。 奥   ■□□□□□□□□□■     ■□□□□□□□□□■    燈■□□□□□□□□□■燈 手前 篭■□□□□□□□□□■篭 ____________________________________________ シーン1         ◆ナレ クローキングで登場。そのまま舞台中央へ。 ナレ 〜キャスト〜 ReZEL フィージェ n人 カミュ=アンジェ ベネ・水代 柊 琉姫 待宵 〜脚本・演出〜 待宵 〜監督〜 柊琉姫 ◆ナレ 舞台から階段側へ移動 ★★★合図 美和登場 ◆美和 合図で舞台右(上手)より登場  @音符エモ(エモ /うれしい )を出しながら舞台中央へ歩く  A中央付近で小さく一回転し、停止時ハートエモ(エモ /ハート )を出す           B中央より左に少し歩いたところ(エモ /無念 )出しながら舞台左(下手)へ退場。  (久しぶりに誠一に会う美和のそわそわとした心の表れ) ◆ナレ 舞台中央へ戻る ナレ 〜劇団 うたかた月夜 presents〜 月見野悲恋 ◆ナレ 発言後、左右どちらかに退場。 ◆語り 時間を空けて舞台左(下手)より登場し舞台中央へ 語り 今宵、月の光に誘われて・・・ 浮かび上がるものがたり・・・ 儚きその影を踏んだのは誰かしら・・・       時代は大戦の最中 そんな中では、いたずらに運命を弄ばれた二人のことなど 取るに足らない、つまらぬものね ◆文字が消えたらエモを使う エモ /e5 それでも月の気まぐれでしょうか・・・ 月光の下に晒されてしまったのなら お話しましょう・・・ ◆語り 話し終わったら、左を向き(エモ/!)を出す エモ /! ◆美和 舞台左(下手)から「語り」とすれ違うように舞台へ入場  舞台中央へ行く ◆誠一 舞台左(下手)から登場し、舞台端で止まる ____________________________________________ シーン2 (重要) ★★★ 美和と誠一の立ち位置ですが、指示があるまで必ず1マス開けてください。 美和 ねぇ、誠一さんっ 早く来て下さいなっ 誠一 そんなに急がなくたって良いじゃないか ◆誠一 発言後、笑いエモ( /笑い )を出しゆっくりと舞台中央まで歩く 注)台本全体を通して美和は基本的に、一歩二歩引いた動作で、奥ゆかしさの中に   寂しがりな性格が見え隠れする演技を心がける 美和 だって、ひと月ぶりですよ ▼被せエモ /うんうん 折角の時間が勿体無いですっ あっ、桜並木が見えてきましたっ 誠一 今年も綺麗に咲いてるみたいだな 美和 はいっ やっと、誠一さんと一緒に桜が見れますっ ▼被せエモ /うんうん 嬉しいなっ 誠一 ▼被せエモ /笑い ・・・そうか、それじゃあ早く行かないとな ◆誠一 発言後、舞台右(上手)に退場 → 舞台左へ移動 美和 あっ、おいてかないでください〜! ◆美和 誠一を追って舞台右(上手)に退場 → 舞台左へ移動 美和 ▼少女の日記を落としていく ◆語り 舞台中央へ、日記に気づき( エモ /! )を出し、日記を拾う 語り あらっ?これは・・・ ▼被せエモ /くすくす あの娘の日記ね・・・ どれどれ、読んでみましょう 【 4月29日(晴れ) 桜の並木道 】 ◆語り 発言後、語り位置へ ★★★合図 美和と誠一入場   ◆美和&誠一 舞台左(下手)より登場  舞台中央まで歩く 美和 遠くから眺めてるのも良いですが、 やっぱり近くで見ると違いますねっ 誠一 あぁ、こうしていると、 とても戦争中とは思えないな・・・ 美和 ええ・・・ 争いなんて・・・早く終わると良いですね ◆立ち位置はきっとこんな感じだと思う 奥   ■□□□□□□□□□■     ■□□□□□□□□□■    燈■□□□美□誠□□□■燈 手前 篭■□□□□□□□□□■篭 ◆美和 発言後、ゆっくり3・4歩歩き、誠一側に振り向く   美和 そんなことより、今は桜を楽しみましょうよ ねぇ、誠一さん♪ 誠一 そうだな、 久しぶりに逢えたんだし暗い話は止めとこう (少し間をあける)     ・・・ エモ /! ところで美和 この並木道の向こうは行ったことあるかい? 美和 いいえ、ありませんよ 確か広い原っぱだって、お父様から聞いたことがあります 誠一 じゃあ、桜を見ながら そこまで歩いてみようか 美和 はい、行ってみましょう ・・・えっと、誠一さん 誠一 ん? 美和 あの、その、手〜・・・ 手、繋いでも良いですか? 誠一 ああ、これでいいかい? ◆誠一 美和の隣マスへ移動する (重要)ここで初めて美和と誠一が隣り合ったマスに来る 美和   ん・・・      エモ /ハート 誠一 じゃあ、行こうっ ◆美和&誠一 舞台右(上手)に退場 → 右(上手)側で待機 語り 【 同日 地主の家(美和の部屋) 】 ◆地主 舞台左(下手)より登場  ウロウロしながら(美和を探すように)舞台中央まで歩く 地主 美和! 美和は何処だ? (すこし間をあける) また、誠一とか言う何処の馬の骨とも知らんやつと会っているのかっ・・・ ワシの娘に手を出そうなんて けしからん! ◆地主 落ち着かない感じで動き回る 地主 むぅ〜、どうしてくれよう・・・ ◆地主 舞台左(下手)に退場 語り   【 同日 村の外れの野原 】 ◆美和 舞台右(上手)より登場 → そのまま中央へ ◆誠一 美和を追うようにそばへ ★★★★★★★★月の方角について要確認★★★★★★★★★ 美和 わー、こんな広い野原が在ったんですね! 私、知りませんでした 誠一 ここはね、周りに何も無いから 月を見るには最高の場所なんだ・・・ 美和 お月見ですねっ キレイなお月さまを眺めながらのお団子は、 とても美味しそうですね〜♪ 誠一 アハハっ、もちろん最高に美味しいさ! そうだ、次会う時は夜に此処に来ようか? 春なのに月見っておかしいかも知れないけど・・・ 此処の月は、本当にキレイなんだよ どうかな? 美和 はいっ! 夜にお月見ですね 誠一 でも美和、夜の外出は大丈夫かい? だいぶ、お父さんが厳しいんだろ 美和 誠一さんと会うためですものっ こっそり抜け出してでも何とかしますよ〜 誠一 ありがとう、美和・・・ 美和 ・・・そろそろ帰りましょうか 誠一 ああ、今日は会えてよかった・・・ 美和 私もです・・・ 誠一 じゃあ、帰ろう ◆美和&誠一 舞台右(上手)に退場 ◆美和 次の登場が左のため、舞台左側(下手)へ移動しておく ____________________________________________ シーン3 語り   【 5月10日(曇り) 地主の家(居間) 】 ◆美和 舞台左(下手)より登場 (重要) 舞台中央にちゃぶ台があると想定してそれぞれ演技する 美和 箸を置いてっと・・・ んーご飯は多めがいいよね お父様、いっぱい食べるし・・・ (少し間をあける) お父様ー!朝食の用意が出来ましたよー! ◆地主 舞台右(上手)より登場     美和の傍まできて座る 美和 おはようございます、お父様 地主 おはよう、ラジヲをつけてくれ美和 美和 はい        ◆美和 語りの傍に移動(ラジヲをつけにいく動作) 美和 え〜と、周波数は・・・ 語り (ラジヲ)ピーッガガッ、ピーッ戦況は・・・ガガッ・・・我が軍が優・・・ ピーッガリガガッ・・・ 美和 この辺かな・・・ 語り (ラジヲ)ピッガガリッ・・・我が帝国軍の勝利は目前に迫っており・・・ 美和 うん、良いかな・・・ ◆美和 発言後、元の位置に戻り座る 美和 それでは、いただきますっ 地主 いただきます ほぉ、今朝は焼き魚か 美和 はい、塩鮭です お父さま、お味はどうですか? 地主 うむ、いい塩加減だ 語り (ラジヲ)・・・軍の勝利を確実のものとするべく、兵の更なる増強を決定し・・・ 地主 それに味噌汁も、だいぶ母さんの味に似てきたようだ 美和 お父さま、私のお母様はどんな人だったのですか? 私を産んで、すぐに亡くなってしまったんですよね 地主 そうじゃなぁ・・・ 物静かで、料理がとても上手でな〜 美和 エモ /うんうん ・・・ 地主 いつも、ワシのわがままを聞いてくれてたよ でもな 一度こうと決めたら絶対に譲らないところもあったな 美和 ・・・私もお母様の料理 食べたいなぁ・・・ 地主 美和・・・ すまないな、ずっとワシの世話をさせてばかりで・・・ 美和 エモ /e5     私も結婚したら、お母様みたいになりたいな 地主 でも、おまえは高齢で諦めかけていたワシらに やっと授かった大事な子じゃ できる事なら、ずっとそばに居て欲しいのぅ〜・・・ 語り (ラジヲ)・・・各地域よりの精鋭、18歳〜28歳までの勇敢な男子を・・・ 美和 お父様、別に私は何処にも行ったりしませんよ もし、私が結婚しても一緒に住めばいいことじゃない 地主 そうだな・・・そうしたいものじゃ・・・ 美和 さあさっ、冷めないうちに食べましょ あっ、お茶持ってきますね         ◆美和 発言後、舞台右(上手)に退場 地主 ・・・ ふぅ・・・ 語り (舞台溶暗)         ◆地主 蝶の羽で退場する ____________________________________________ シーン4 語り 【 5月26日(晴れ) 夕暮れの桜並木道 】 (舞台溶明)         ◆誠一 舞台左(下手)より登場し、舞台中央まで歩く 誠一 良かった、美和はまだ来てないみたいだな・・・ んー、今夜の月は綺麗に見えるだろうか・・・ まあ、雲は少なめだし大丈夫か (少し間をあける) ◆美和 舞台左(下手)より登場し、誠一の傍まで歩く  (重要) 誠一と美和の間は一マス空けること 美和 すみません、遅くなりました 待たせちゃいましたね 誠一 そんなことはない、僕もついさっき来たばかりだから ▼被せエモ /! ん、それは? 美和 あ、これですか おにぎりですよ 誠一さん、夕ご飯まだ召し上がってないと思って 誠一 そっか、なら月を見ながら食べよう 美和の作ったおにぎりか、楽しみだなー 美和 ▼被せエモ /e5 普通のおにぎりですよっ さて、だいぶ日も落ちてきましたし、行きましょうか 誠一 月見おにぎりか・・・ エモ /うんうん ◆誠一&美和 舞台右(上手)に退場 語り   【 同日夜 村外れの野原 】 ★★★合図 美和と誠一 登場 ◆誠一&美和 舞台右(上手)寄りに登場 ◆立ち位置はきっとこんな感じだと思う          月 奥   ■□□□□□□□□□■     ■□□□□□□美□□■    燈■□□□□□□□誠□■燈 手前 篭■□□□□□□□□□■篭 (重要) 月の位置は舞台中央の奥の上、社の入り口に浮かんでいると想定 美和 キレイ・・・ こんなお月さま、初めて見ました・・・ 誠一 なぁ、キレイだろ この野原に浮かぶ月は特別だと思うんだ・・・ 美和 ・・・ 誠一 あぁ・・・良い眺めだな〜 美和 ・・・ う〜〜さ〜ぎ〜う〜さ〜ぎ〜♪ な〜に〜み〜て〜は〜ね〜る〜♪ じゅう〜ご〜や〜お〜つきさ〜ま〜み〜て♪ は〜〜ね〜る〜♪ 誠一 エモ /! 「うさぎうさぎ」だね 美和 ねぇ、誠一さん・・・ この歌、なぜ兎はお月さまを見て跳ねるかわかりますか? 誠一 エモ /キョロキョロ うさぎうさぎは、ただのわらべ歌じゃないのかい? 美和 いいえ、今でこそわらべ歌ですが、 元々はこの国に古くから伝わる御話なんですよ・・・ 誠一 ▼被せエモ /うんうん そうだったのか 美和 ・・・むかしむかし、あるところに それは仲のよいオスとメスの2羽のうさぎがおりました でも、オスのうさぎはいたずらが大好きで いつも悪さばかりをしてました (少し間をあける) メスのうさぎの注意も聞かず、いたずらを繰り返していたオスのうさぎは とうとう神様の怒りをかって、お月さまに閉じ込められてしまい 止まった時間の中で、永遠に餅をつく罰を与えられるのです・・・ 誠一 エモ /ショック 美和 大好きなオスのうさぎをお月さまに閉じ込められ 一羽残されたメスのうさぎは 悲しくて・・・寂しくて・・・三日三晩泣き続けました そして、オスのうさぎの影が見えるまあるい月の晩には なんとか傍に行こうと 高く・・・高く跳ねるのです・・・ 誠一 ・・・そんなに悲しい歌だったんだ 美和 だから うさぎの眼は真っ赤なんですよ・・・ 誠一 でも、いきなりどうしたんだ美和? 美和 ・・・ ねぇ・・・誠一さん 誠一さんは、いなくなったりしませんよね? 誠一 ・・・いなくなるわけないじゃないか 美和 それでも・・・ひと月に一度会えるかどうかなんて 私、寂しいですっ・・・ 誠一 ・・・美和 美和 ・・・ エモ /! あ、すみません・・・ あれれ、どうしたんだろ私ったら・・・ お月さまを見ていたら、なんか切なくて・・・ (間をあける) その、気にしないでくださいっ 今のは無かったことにしましょう ねっ、誠一さん! 誠一 ごめんな、美和・・・ 僕もホントは毎日でも会いたいんだけど・・・ 美和 そんな・・・謝らないでくださいなっ 私、どうかしてたんです・・・ 今のままでも、じゅうぶんしあわせなのに 誠一 ・・・美和 グ〜ッ(腹のなる音) エモ /! 美和 エモ /! エモ /笑い えっと、おにぎり食べましょうか 誠一 こんな時でも、腹のなる自分が情けない・・・ エモ /えーん 美和 エモ /笑い 梅とオカカ、どちらにしますか? 誠一 ・・・ 両方 語り (舞台暗転) ◆誠一と美和 舞台右(上手)に退場 → そのまま待機 語り   【 同日夜 帰り道 】      (舞台溶明) ★★★合図 美和と誠一 登場 ◆誠一&美和 舞台右(上手)より登場し、舞台中央まで歩く (重要) 誠一と美和の間は一マス空けること 美和 誠一さん、今宵はとてもキレイなお月見に招待していただき ありがとうございました♪ 誠一 エモ /うんうん そんなにかしこまらなくったって 美和 でも、あんなにキレイなお月さま・・・ 初めてだから・・・ 誠一 そうだな、今度はちゃんと秋に観に来たいね 美和 でしたら、秋の名月も観に来ましょう 私としては、こんなにキレイなお月さまならいつでも観に来たいですよ 誠一 たしかにそうだな 美和 ・・・ ・・・誠一さんといっしょに・・・ 誠一 今、なんか言ったかい? 美和 ▼被せエモ /e5 ・・・ 誠一 ・・・じゃあ、暗いから足元気をつけて 美和 はい、おやすみなさい誠一さん・・・ 誠一 おやすみ美和・・・ ◆美和 舞台左(下手)に退場 → 次は左から登場     たびたび振り返り、パーエモ( /パー )で手を振る ◆誠一 美和が舞台退場前にパーエモ( /パー )で手を振る 誠一 ふぅ・・・ やっぱり、美和は寂しかったんだな・・・ ・・・ よし!・・・決めた! ◆誠一 舞台右(上手)に退場 → 次は左から登場 ____________________________________________ シーン5 語り 【 6月18日(雨) 地主の家(玄関)】 ★★★合図 役人登場 ◆役人 舞台右(上手)に登場 奥   □□□□□□□□□□□     □□□□□□□玄□■□     □□□□□□□関□□□ 手前  □□□□□□□□□□□ 役人 地主はいるか! 軍の者だ!早く開けろ! ★★★合図 地主登場 ◆地主 舞台左(下手)寄りに登場 地主 はいはい、いま開けますゆえ ◆地主 役人のそばへ移動する 地主 地主はワシですが、なにか御用ですかな 役人 うむ、御国のほうで今回更なる軍備強化が決まり 兵器増産のため各地域や村から鉄・銅などの金属の徴収をおこなう! よってこの村からも、クワなどの農耕具、また寺の鐘等を徴収する! 地主 そんなっ、待ってください そしたらワシらは畑仕事をどうやってしたらいいんじゃ? 役人 そんなことは知らん! 地主 そんな御無体な・・・ 役人 ジジイ、御国に逆らうとどうなるか判ってるだろうな・・・ (間をあける) ああ、そうだった 金属の徴収を少なくすることもできるぞ! 地主 本当ですか? 役人 ああ、代わりに徴兵をおこなう 10名だ!ただし若い力のある男子に限るぞ! 誰を選ぶかは、地主、お前が決めろ! 御国の命令だといえば、誰も逆らえまい・・・ 地主 エモ /うんうん ・・・わかりました 役人 では3日後、金属と兵を役所に届けろ! ◆役人 舞台右(上手)に退場 地主 めんどうな事になったな・・・ (少し間をあける) エモ /! ん、待てよ・・・ そうか、これを利用して美和に付きまとうあの男を・・・ ▼被せエモ /くすくす そうかそうか・・・ ◆地主、舞台左(下手)に退場 語り   【 同日 村の通り 】         ◆誠一と美和 舞台左(下手)より登場 美和 雨、止みませんね・・・ せっかく誠一さんと会えたのに 誠一 そうだな、これじゃあ出かけるのは中止だな 美和 そうですね・・・ 誠一 ・・・美和っ 美和 なんですか誠一さん 誠一 ホントは今日の帰りに言おうと思ってたんだけど・・・ 美和 はい? 誠一 美和・・・ 僕と結婚しよう! 美和 ・・・ え、え〜っ! わわわッ、あの、えっと、ホント・・・ですか? 誠一 ああ、本当だ 美和、僕の妻になってくれ! 美和 ・・・うれしいっ ▼被せエモ /えーん うれしいです・・・ 誠一 いままで、家族もいない独り身の僕なんか・・・ 地主の娘である美和とつりあうはず無いって ずっと、迷ってたんだ・・・ でも、もう迷わないよ! もう、美和に寂しい思いはさせたくないんだ! 美和 ▼被せエモ /えーん 誠一さん・・・うれしい・・・ 誠一 じゃあ、近いうちに美和のお父さんにご挨拶しないと・・・ いや、やっぱり今日挨拶に行っていいかい? こういうことはきっと早い方が良い! 美和 はい♪ お父様もきっと喜んでくれますっ 誠一 行こう! ◆役人 舞台左(下手)から登場し、舞台右(上手)へ退場 役人 エモ /e10 ◆誠一 舞台左(下手)へ退場 → 舞台右へ移動する ◆美和 誠一に続いて退場 → 舞台右へ移動する 語り 【 同日 再び地主の家(玄関)】 ◆美和 舞台右(上手)より登場し、右寄りにいる ◆「誠一」舞台右寄りに登場 奥   ■□□□□□□□□□■     ■□□□□□□□□誠■    燈■□□□□□□□美□■燈 手前 篭■□□□□□□□□□■篭 美和   お父様、ただいま戻りました♪ ★★★合図 地主登場 ◆地主 舞台左(下手)より登場し、美和の近くへ     地主はそのセリフとは裏腹に誠一を見下した所作 地主 おお、おかえり美和 エモ /! おや、そっちの男は? 美和 お父様、紹介しますね 彼は誠一さんです♪ 地主 ・・・ 誠一 はじめまして、お父さん 誠一といいます ◆地主 誠一の台詞をさえぎる準備をする     台詞は「 ん、誠一? 」 誠一 実は今日は、お父さんにお話があって参りました 地主 ん、誠一? おお、もしかして 確か今回の徴兵の名簿に載ってたな 丁度良い・・・ 誠一 え? 地主 誠一君、君は今回の徴兵で兵役につくことにあいなったのじゃ いやいや、こんな名誉なことは在るまい 誠一 はい? 美和 え? 地主 実はついさっき、役人が家にみえてな この村からも10人兵役につくことを伝えに来たのじゃ その中に誠一君、君の名前も載ってたのだよ 喜びたまへ ワハハハッ! 美和 そんなッ・・・ どうして誠一さんがっ! 嫌ッ!・・・嫌ですッ! 地主 美和、黙ってなさいっ 誠一 そうですか・・・ 判りました・・・ 地主 3日後までに役所にいきなされ 誠一君、頑張りたまへよ! 美和、今日はもう家に入りなさい! ◆地主 笑いながら舞台左(下手)に退場 地主 ワハハハハッ! 誠一 ・・・ 美和・・・ 明日の晩、外れの野原に来てくれないか・・・ ◆誠一 舞台右(上手)に退場 → 次は舞台右から 美和 どうして、誠一さんが・・・ せっかく・・・ やっと・・・ ▼被せエモ /えーん うぅ・・・ううぅっ 語り (舞台溶暗) ◆美和 舞台左(下手)に退場 → 次は舞台右から ____________________________________________ シーン6 語り 【 6月19日(晴れ) 村外れの野原(夜)】 語り (舞台溶明) ◆誠一と美和 舞台右(上手)より登場 誠一 美和・・・ 結婚、しばらくお預けになってしまったな・・・ 美和 ・・・はい 仕方ないです・・・ 誠一 美和・・・ 待っていてくれるかい? 美和 ・・・ッ 当たり前じゃないですか! 待ってます!・・・待ってます! だから、誠一さん・・・ 絶対に帰ってきてください・・・ 誠一 ああ、約束する! 帰ってきたら真っ先にここに来る・・・ そして、美和と結婚する! 美和 約束・・・ですよ・・・ この月の下で、また会いましょう ねぇ・・・誠一さん (重要) この辺りで、美和が中央に来るように演技動作を調整する  奥   □□□□□□□□□□□      □□□□誠美□□□□□      □□□□□□□□□□□ 手前   □□□□□□□□□□□ 誠一 ああ、この月の下で会おう エモ /! ・・・美和、ちょっといいかい 美和 ・・・はい? 誠一 左手を上にあげて 美和 こうですか・・・? 誠一 エモ /うんうん そしたら、薬指を月に重なるように・・・ 美和 あっ・・・ 誠一 こうすると、指環をはめてるみたいだろ 僕が帰ってきたら、本物の指環を渡すから・・・ それまでは・・・この月の指環で我慢してくれないか 美和 誠一さんっ・・・ ▼被せエモ /えーん ひぐッ・く・・うぅっ・・・ 誠一 泣かないでくれよ 必ずちゃんとしたのを用意するからっ 美和 エモ /e5 違っ、そうじゃ・・・ひっくッ・・・なくて・・・ うれ・・・しくて・・・ふえっ・・・んっ 誠一さん・・・ 誠一 ん 美和 ありがとう・・・ エモ /ちゅちゅ 誠一 美和・・・ 語り (舞台溶暗) ◆美和と誠一 蝶の羽で消える 語り そして 誠一は美和との約束を胸に 出征していった・・・ 〜後編へつづく〜 (少し間をあける) ・・・ でも・・・ なぜに二人は、月の下で願い、誓ってしまったのでしょう・・・ よりによって気まぐれな月などに・・・ エモ /くすくす まったく、愚かな二人・・・ エモ /! あらっ、そろそろ狐の出る時間のようですね それでは、本日はこのくらいで・・・ ◆語り 蝶の羽で消える ◆団長 狐の仮面を装備して登場 団長 後編へ続く合図を入れる